ハインツ・マイヤー=ライプニッツ賞オンライン講演会2022

プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)と脱炭素化の社会的ダイナミクス

ドイツ研究振興協会(DFG)日本代表部とドイツ科学・イノベーション フォーラム東京(DWIH東京)はハンブルク大学、シュテファン・アイクト准教授とポツダム気候影響研究所、ヨナタン・ドンゲス博士の2019年DFGハインツ・マイヤー=ライプニッツ賞受賞者を招き、12月14日(水)に第2回ハインツ・マイヤー=ライプニッツ賞オンライン講演会を開催します。講演会の参加者は12月15日(木)開催のワークショップにもご参加いただけます。詳細は下記をご覧ください。

オンラインコンファレンスのタイトル画面が地球の上の日の出

© Pixabay

今年は、1972年にストックホルムで開催された「国連人間環境会議」から50年の節目の年にあたります。1972年は、国際的な研究・提言機関ローマ・クラブから社会システムと自然システムの動態を関連付ける初めての試みにより構成された「成長の限界」の報告書が発表された年でもあります。この会議と報告書により、人類の発展に対する地球規模の生態学的限界についてが世界的な議題となりました。
また、2022年はポツダム研究所での統合的な気候影響研究が30周年を迎え、そして1997年12月に「気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書」が採択されてから25年を迎える年でもあります。
ハインツ・マイヤー=ライプニッツ賞オンライン講演会「プラネタリー・バウンダリーと脱炭素化の社会的ダイナミクス」では、改めてこれまでを振り返り、新たな取り組みを考えます。
アイクト氏とドンゲス氏は、生態学的問題、特に気候変動の社会的ダイナミクスについて、そして、人新世における地球システムの複雑な構造についての研究を紹介します。また、人類社会での気候・環境危機による地球規模の課題とリスクについて、ドイツと日本の視点から議論します。
両国からの参加者を交え、講演者と議論を展開し、今後の環境ガバナンス、気候変動緩和、レジリエンス構築について、意見を交わします。

主催 ドイツ科学・イノベーションフォーラム東京(DWIH 東京)、DFG
日時 12月14日(水)09:00-12:00(ドイツ時間) / 17:00-20:00(日本時間)
使用言語 日英同時通訳
場所 オンライン・YouTubeライブ配信

参加申込
講演パネルディスカッション(YouTubeライブ配信)、およびグループディスカッションへの参加登録は下記、DWIH東京のホームページよりお願いいたします。

グループディスカッションの参加登録(オンライン会議ツール利用、クローズド、ライブ配信なし)
使用言語 英語(一部の表現が難しい時などは、通訳サポートが入ります)

参加登録締切 12月9日(金)

登壇者&パネリスト

ハインツ・マイヤー=ライプニッツ賞 2019年受賞者 シュテファン・アイクト

シュテファン・アイクト 博士

ハンブルク大学社会学部 准教授、「持続可能な社会研究センター(CSS)」所長

ハインツ・マイヤー=ライプニッツ賞 2019年受賞者 ヨナタン・ドンゲス

ヨナタン・ドンゲス 博士

ポツダム気候影響研究所(PIK)フューチャー・ラボ 共同リーダー、地球システム解析研究部門全地球システム解析 ワーキンググループリーダー

司会 アナ-ユリア・ザイガー

アナ-ユリア・ザイガー 博士

フライブルク大学法学部第二部メディア情報法研究所 研究員、ベルリン・フンボルト大学法と社会の統合研究所 フェロー

パネリストの朝山慎一郎

朝山慎一郎 博士

国立環境研究所社会システム領域 主任研究員

パネリストの落合ちほ

落合ちほ 博士

京都大学大学院 地球環境学堂 准教授

パネリストの吉田明子

吉田明子

認定特定非営利活動法人FoE Japan

パネリストの長谷川知子

長谷川知子 博士

立命館大学理工学部 准教授

イングリット・クルスマン

イングリット・クルスマン 博士

ドイツ研究振興協会(DFG)国際交流部 副部長、アジア・パシフィック地域長、Sino-German研究振興センター長、日本代表部代表

アクセル・カーペンシュタイン

アクセル・カーペンシュタイン

ドイツ学術交流会(DAAD)東京事務所所長、ドイツ 科学・イノベーション フォーラム東京(DWIH東京)ディレクター

未来の気候へのタイムトリップをかなえるClimateTimeMachine

現在予定されている対策だけを講じた場合の2100年の気候予測

© Sciara

SCIARA(Society - Climate Interaction Analysis with Real Agents)の研究ベースのオンラインシミュレーションで、唯一無二のタイムトリップをしてみませんか。気候に配慮し、気候変動対策に積極的に取り組むモチベーションが高まるはずです。

目的
ClimateTimeMachineは、実効性を伴う気候変動対策、化石燃料からの脱却の加速を後押し、気候変動対策への取り組みを支持、支援、促進していきたいと考えています。
SCIARAはそれに向けて、2020年に研究用オンラインシミュレーションClimateTimeMachineの開発を開始し、すでに数千人が、未来の気候へのエキサイティングなタイムトリップを体験しています。

生活標準

© Sciara

未来の気候へのタイムトリップ・シミュレーションとは?

自分の価値観とニーズによって将来の生活がどうなるのか、どう変化するのかを早送りモードで探ります。
どのような暮らし、移動、食事、消費生活をしたいか?どの政策や構造的対策に賛成し、どれに反対するのか?どうすれば一人で成果を上げられるか?問題を解決し、他の参加者との話し合いが必要になるのはどんな場面か?
シミュレーション参加者と一緒に気候リスクを食い止める、あるいは小さくすることはできるでしょうか?それで人生はどう変わるでしょうか?
ClimateTimeMachineは、参加者の選択が気候だけでなく、参加者の経済状況と生活環境にどのような影響を与えるかを計算します。
ClimateTimeMachineが示す影響はすべて、ポツダム気候影響研究所をはじめとする研究機関が提供する学術モデルに基づくもので、全モデルの特性とパラメーターは公開されています。

天気と温暖化を表すグラフ

© Sciara

タイムトリップの進行

このタイムトリップは、ClimateTimeMachineアプリとウェブ会議(Webex)を使用して、3時間のオンラインワークショップとして行います。
ClimateTimeMachineアプリでアカウントを作成すると、それがタイムトリップにひも付けされます。
ワークショップでは、イントロダクションに続いて全員がアプリにログインすると、現在予定されている対策だけを講じた場合の2100年の気候予測が表示されます。
タイムトリップのスタート時には、主催者がシステムについて説明をします。参加者は自分の生活スタイルに関する最初の設定を行います。
シミュレーションが動き出すと、ClimateTimeMachineの気候モデルは、参加者全員の選択が温室効果ガスの排出に及ぼす影響を随時計算に組み入れていきます。
参加者は、シミュレーションされた世界の状況についてディスカッションし、個別にあるいは全体でどのような取り組みができるかを検討したり、自分の許容範囲や価値観、ニーズを見直したりします。また、シミュレーション内でアイデアを試してみて、それが気候や経済に及ぼす影響、費用を確認することもできます。
必要な場合はシミュレーションを止めて、サポートや提案、質問の機会を設けます。
タイムトリップの終了後は、最終的な気候の変化を全員で振り返り、フィードバックセッションを行います。

活発なディスカッションを期待しています。

進行

進行 ダニエル・タンベルク

© Sciara

ダニエル・タンベルク
SCIARA発案、共同創業者
2019年、これまで30年近く培ったIT業界での知識と経験を活かし、何か社会に貢献したいと考え、過去に読んだ書籍「成長の限界」から気候変動の学術モデルをベースとするシミュレーション開発の着想を得る。
ポツダム気候影響研究所のエージェント・ベースの分野を専門とする2人の研究者に持ち掛けたところ、シミュレーションへの可能性を見込み、同研究所所長ヨハン・ロックストローム氏の協力を得て、開発に至る。

SCIARAは、ポツダム気候影響研究所(PIK)、ドイツ連邦環境財団(DBU)、ローマクラブ・ドイツ協会からのサポートやアドバイスを受けています。