DFGアーレンス事務総長とゼーベルガー副会長 日本訪問

STSフォーラム、ファンディング機関長会合、特別講演会「化学産業をサーキュラー・エコノミーに転換」

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今回で20回目を迎える科学技術と人類の未来に関する国際フォーラムSTSフォーラムが、京都で開催され、DFG事務総長のハイデ・アーレンス(Dr. Heide Ahrens)とDFG副会長のペーター・ゼーベルガー教授(Prof. Dr. Peter Seeberger)が出席しました。

毎年10月に開催されるこのフォーラムは、120カ国以上からの政策立案者や経営者、科学者が集い、科学技術の側面からグローバルな課題解決に向けて議論する大変貴重な機会となっています。今年は、ゼーベルガー副会長が「発展の原動力としての科学技術」のセッションに登壇しました。

STSフォーラム会期中に科学技術振興機構(JST)とDFG主催のファンディング機関長会合(Funding Agency Presidents’ Meeting)が開催され、60 カ国の助成機関の代表が出席しました。13回目となる今回の会合では、人材育成とモビリティにおける助成機関の役割について議論が行われました。DFGのアーレンス事務総長は、「人工知能(AI)といった新興技術分野での人材育成やモビリティーにおける助成機関の役割」のテーマに関するディスカッションに参加しました。

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そのほか、アーレンス事務総長とゼーベルガー副会長、シュナイダー国際交流部部長、クルスマン日本代表部代表(国際交流部副部長、アジア・パシフィック地域長)は滞在中、パートナー機関である日本学術振興会(JSPS)、科学技術振興機構(JST)、日本医療研究開発機構(AMED)とも意見交換を行いました。

 

 

 

 

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10月3日には、特別講演会「化学産業をサーキュラー・エコノミーに転換」開催のため、京都から東京へ移動しました。講演会では、研究開発および産業界の専門家が、化学における研究と開発が主要産業の持続可能な変革にどのように貢献するか話し合いました。基調講演とインプットでは、持続可能な変革に向けた化学分野における新たなアプローチが紹介されました。

DFG副会長のペーター・ゼーベルガー教授は、「化学産業は基本的にどの産業においても不可欠である」と述べ、化学分野にはイノベーションとなる高い潜在力があることを強調しました。そのほか、ザクセン州にある化学転換センター(Center for the Transformation of Chemistry、CTC)を紹介しました。化学転換センター(CTC)は、2022年9月、ドイツ連邦教育研究省(BMBF)が主催するアイデアコンペティション「地域に展望をもたらす科学!」で入賞した2つのコンセプトのうちの1つです。

BASFのカローラ・リヒター博士(Dr. Carola Richter)は、産業界での応用に向けた革新的なアプローチの発見するため、研究や科学が重要であると強調しました。理化学研究所の侯 召民教授(Prof. Dr. Zhaomin Hou)は、同環境資源科学研究センター(CSRS)で研究した効果的な資源循環の可能性を紹介しました。ディスカッションでは、持続可能な変革の根本的な転換を成し遂げるには、あらゆる部門やプレーヤーが努力を傾けることが不可欠であることが示されました。

DFGのハイデ・アーレンス、在日ドイツ商工会議所(AHK Japan)のマークゥス・シュールマン氏(Marcus Schürmann)、ドイツ学術交流会(DAAD)東京事務所およびドイツ 科学・イノベーション フォーラム東京(DWIH Tokyo)のアクセル・カーペンシュタイン氏(Axel Karpenstein)は、挨拶の中で、研究者、イノベーター、ステークホルダー間のネットワークづくりを推奨しました。そして、アーレンスはDFGは「ドイツと日本の研究者での共同研究の支援に尽力しています」と重ねました。今回のイベントで、活発なディスカッションや交流が展開されたことは、新たなネットワークの構築やこれから連携を始めるのに必要な機会となったこととして確認されました。

© Yasuhiko Shimazu

このイベントは、主催 DFGおよびDWIH東京、共催 在日ドイツ商工会議所、後援 理化学研究所および日本化学会により開催されました。