基礎研究から応用研究までの日独共同研究の構築
今回で3回目となるマルチスケール多相プロセス工学国際シンポジウムが5月8日から11日まで富山で開催されました。第1回目のシンポジウムはJSPSとDFGが実施している二国間連携の構築・強化を図ることを目的とした共同セミナー事業に採択され、2011年に金沢で開催されました。シンポジウムは日本とドイツで交互に3年おきに開催、2014年にはハンブルグで開催されました。そして、今回の日本でのシンポジウムでは、これまで6年間の日独のイニシアティブの進展が示され、二国間共同セミナーの支援から展開し、共同研究につながっていくことが確認されました。
ドイツ、日本、オーストラリア、フランス、カナダ、台湾、イギリスから112名が参加し、国際色豊かなシンポジウムとなりました。また、今回注目すべき点はスポンサーとして参加した日本とドイツの企業を通じ、産業界との共同研究の基盤が構築された事です。住友化学からは講演の発表者として、ほかにも合計10のスポンサー企業の代表者が出席しました。(スポンサー企業のリストはシンポジウムホームページにございます。)
今回、ドイツ側からの重要なスポンサー、ロバート・ボッシュの参加は、今回のシンポジウムの座長を務めた慶應義塾大学 寺坂宏一教授がDFGのメルカトルフェローシップを利用してこのシンポジウムのドイツ側の担当者であるハンブルク=ハーブルク工科大学ミヒャエル・シュリューター教授(Professor Dr Michael Schlüter)の研究室に半年間研究滞在した際、シュトゥットガルト近郊のロバート・ボッシュ本社を訪問し、自身の研究を紹介したことがきっかけとなり、実現しました。
また、参加したドイツ企業の代表の一人は、この国際シンポジウムのイニシアティブはプロセス工学分野における日本の研究の現状を把握するための貴重で重要な機会となっていると言っています。そして、日本では専門関連誌が主に日本語で出版されている事が多いことを受け、ポスター発表から口頭発表、要旨集などの資料に至るまですべて英語が使用されました。そのほか、このシンポジウムの重要な役割は、共同研究における若手研究者の活躍の促進です。将来に向けた共同研究の基礎として持続可能で学際的である国際的ネットワークの構築がなされ、シンポジウムは成功の裡に終了しました。